• 投稿カテゴリー:小説執筆
  • Reading time:1 mins read

多くの人が悩む、文章の冗長さ。

これを解消するためには、言葉の断捨離を意識することが大切です。

それでも冗長さが消えないなら、まだ断捨離できる部分が残っているのかもしれません。

そこで今回は「接続詞の断捨離」について考えてみます。

接続詞の種類

芝生のうえにある木製の椅子
https://unsplash.com/photos/PA0WDrBnD_M

接続詞は、前後の文章をつなぐときに使います。

小説のみならず日々の会話やSNS・ビジネス文書でも何気なく使っていますが、実は様々な役割を担っています。

接続詞の種類
  • 順接
  • 逆説
  • 並列・列挙・添加
  • 補足・説明
  • 対比・選択
  • 転換

こんなにも種類豊富! それぞれどのような言葉が該当するのでしょうか。

順接

https://unsplash.com/photos/zdV9ngtM0Sw

前の文章が原因・理由であり、続く文章が順当な結果である場合に使う接続詞です。

例:だから、したがって、故に、その結果、など

逆接

順接とは対照的に、前の文章とは異なる結果、相反する結果、順当ではない結果を続ける場合に使う接続詞です。

例:しかし、だが、ところが、にもかかわらず、など

並列・列挙・添加

https://unsplash.com/photos/tSGHEbYSUGw

前の文章と似た文章を並べる場合は「並列」、文章を順序だてて説明したい場合は「列挙」、そして前の文章に何か付け加えたい場合は「添加」の接続詞を使います。

  • 並列:また、および
  • 列挙:初めに、次に
  • 添加:それから、さらに など

補足・説明

前の文章に対して理由を説明したり、内容を補ったりする場合に使う接続詞です。

例:つまり、なぜなら、ただし、ちなみに、など

対比・選択

https://unsplash.com/photos/6mUIYJvS2_I

前後の文章を比べたり、選んだりする場合に使う接続詞です。

例:または、もしくは、あるいは、など

転換

話題を変える場合に使う接続詞です。

例:さて、ところで、では、ときに、など

接続詞は便利屋さん!だからこそのリスク

接続詞は文章をつなぐだけでなく、わかりやすくしたり印象を変えたり、さまざまな用途があります。

だからこそ「多用」しやすく、気付けば接続詞だらけになっていた……なんてことも。

文章の便利屋さん「接続詞」の役割と、使いすぎの弊害について考えてみましょう。


白くて四角いメモ

接続詞さえあれば誰でも作文ができる!

https://unsplash.com/photos/Rl_ceSSjnuQ

接続詞は、どんな文章でも繋ぎあわせることができます。

まずは箇条書きされた以下の文章をご覧ください。

  • 6時に起きた
  • 朝ごはんを食べた
  • 友達と遊びに出かけた
  • 雨が降ってきた
  • 家に帰った

これではただ事実を羅列しているだけで、まとまりがありません。

こんなとき接続詞を使えば、ひとつにまとめることができます。

6時に起きた。そして朝ごはんを食べた。それから友達と遊びに出かけた。しかし雨が降ってきた。だから家に帰った。

文章としての完成度はさておき、バラバラだった文章をまとめることには成功しましたね。

このように、接続詞を使うことで文章を簡単に繋ぎあわせることができるのです。

しぼんだトマト

使いすぎにはご注意を…

https://unsplash.com/photos/cOPgtPO4NdM

接続詞は便利な反面、使いすぎは考えもの。独立したフレーズをただ繋ぎあわせただけの、まとまりがない文章にみえてしまいます。

先ほどの例文も、まるで子どもが書いた日記のようでしたね。

ほかにも接続詞の多用によって起こる問題があります。

わたしは肉が好きだ。しかし魚も好きだ。しかし青魚の生臭さは得意ではない。しかし健康のために青魚も食べるようにしている。

「肉が好き」という話をしていたはずなのに、最後には「健康のために青魚を食べる」という話に変わってしまいました。

原因はもちろん、接続詞の多用です。

詳しくみていくと、4つの短い文章を繋ぐために逆接の接続詞「しかし」を3回も使っています。

接続詞が出てくるたびに話の主題が変わっていき、いったい何の話をしたいのかわかりません。

接続詞を使いすぎることで「何を伝えたいのか」という肝心なポイントが迷子になってしまうのです。

接続詞の多用によるリスク
  • 伝えたいことが伝わらなくなる
  • 文章が稚拙になる

接続詞を多用せずに表現する方法

さて、ここからが本題です。

接続詞の多用は、文章を稚拙にするとわかりました。

これを解消するために、接続詞を使わない表現方法を探ってみましょう。

  • 省いても意味が通じる接続詞はないか
  • 文章自体を書き換えて接続詞を使わずに表現できないか

この2点に注目です!

紙を挟みで切る

省いても
意味が通じる箇所を探せ!

https://unsplash.com/photos/7NGU2YqBue8

たとえば何かを論じる文章・説明する文章では、事を順序だてて書くことで読み手の理解を促します。

こういった場合は、前後の文章の相関関係を明らかにするために接続詞が必要です。

一方で小説は、文章の最初から最後まで論じたり説明したりする論文・説明文とは目的が異なります。

そのため接続詞を省いても、意味が通じることがほとんどです。

以下の2つの文章を見比べてみましょう。

●例文①

わたしは6時に起きた。なぜなら友達と遊ぶ約束をしていたからだ。

ところが外は雨が降っている。さらに風も強い。

だからわたしは友達に連絡をした。そして別の日に遊ぶ約束をした。

●例文②

わたしは6時に起きた。友達と遊ぶ約束をしていたからだ。

ところが外は雨が降っている。風も強い。

だからわたしは友達に連絡をした。別の日に遊ぶ約束をした。

例文①には接続詞が5つ登場します。ここから「なぜなら」「さらに」「そして」を省き、接続詞を3つに減らしたのが例文②です。

見比べてみて、いかがでしょうか。

接続詞を削っても意味は変わりません。むしろ例文②の方がすっきりとして、読みやすいかもしれませんね。

省いても意味が通じる接続詞を断捨離することで、小説全体がスマートな印象になります。

虫眼鏡で文字を見る

接続詞以外の表現方法を探せ!

https://unsplash.com/photos/eQ2Z9ay9Wws

接続詞を使うと、前後の文章の関係性を明示できます。この逆もまた然りで、接続詞を省くと関係性が曖昧になるかもしれません。

それならいっそのこと、ふたつの文章の関係性が伝わるように文章に書き換えてしまえばよいのです。

例文①にある接続詞「それから」を省略するために、例文②で文章全体を書き換えてみました。

●例文①

朝6時に起きた。それから洗面所で顔を洗った。

●例文②

朝6時に目覚めた私は、すぐに洗面所で顔を洗った。

いかがでしょうか。「朝6時に起きた」こと、起きてからその足で洗面所に向かい「顔を洗った」ことがしっかりと伝わりますね。

もうひとつ例文を見てみましょう。

●例文①

宿題を家に忘れた。だから急いで取りに帰った。

●例文②

宿題を家に忘れた僕は、急いで取りに帰った。

接続詞がなくても前後の関係性は明確に示されています。

  • 原因:忘れた(前半)
  • 結果:取りに帰る(後半)

文章全体を書き換えることで、接続詞の断捨離に成功しました!

接続詞を削らない方がいいこともある

いまさら正反対のことを言うなんて! という悲鳴が聞こえてきそうですね!

接続詞は手当たり次第に削ればよいわけではありません。たとえば……。

  • 文章がブツ切りになってしまうとき
  • 文章のリズムを整えたいとき

接続詞が必要なケースをご紹介します。

キウイを包丁で切る

文章がブツ切りになってしまうとき

https://unsplash.com/photos/rJ236eQHXGA

ふたつの例文を見てみましょう。

●例文①

  • わたしは宿題を終わらせた。それから寝た。
  • わたしは宿題を終わらせた。寝た。

●例文②

  • 寝坊をしてしまった。だから学校に遅刻した。
  • 寝坊をしてしまった。学校に遅刻した。

例文①では「それから」、例文②では「だから」という接続詞を省きました。

文章はコンパクトになりましたし意味は通じます。

しかし前後の関係性が見えにくく、箇条書きの文章を読んでいるように感じませんか?

文章がブツ切りになってしまう場合は、接続詞を削らない方が良いケースです。

ピアノを弾く人

文章のリズムを整えたいとき

https://unsplash.com/photos/-002g4wurYQ

あえて接続詞を使うことで表現が豊かになる場合もあります。

わたしが好きな色は、赤、ピンク、黄色です。

読みにくさもありませんし、文章の意味も通じます。接続詞が必要な箇所も見当たりません。

ではこの文章にあえて接続詞をプラスしてみます。

わたしが好きな色は、赤、ピンク、そして黄色です。

いかがでしょう。「そして」という添加の接続詞を加えたことで、文章のリズムが良くなったように感じませんか?

接続詞を使わずに表現するなら、「そして」という言葉は断捨離の対象になります。

しかし不要に見える接続詞も、あえて挿入することで文章が読みやすくなる可能性もあります。

もちろん多用は避けた方が良いですが、適切な場所に適切な接続詞を使うと文章全体のバランスを整えることができるのです。

穴の向こうを覗く人

接続詞の多用は見落としがち…

https://unsplash.com/photos/xsGApcVbojU

夢中になって小説を書いていると、接続詞の多用には気付かないもの。

すべて書き終えてからはじめて、「ここの接続詞はいらなかったな」と発見することもよくあります。

推敲の際はぜひ、接続詞の使い方や使用回数にも目を向けてくださいね。

Writer:マスダ キミ / Editor:noveRe: