• 投稿カテゴリー:小説執筆
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あなたはどのような小説に魅力を感じますか?

ストーリーがおもしろい。世界観やキャラクターの設定がユニーク。情景描写が美しい。

人それぞれ魅力を感じるポイントは異なりますが、おそらく「表現の豊かさ」「表現力の高さ」は、多くの読者を引きつけるポイントではないでしょうか。

今回は小説を魅力的にする要素のひとつ、「表現」について考えていきます。

多くの作家さんが悩む「表現力」

小説を書いていて、このように感じたことはありませんか?

  • ありきたりな表現ばかり並べてしまう
  • ありきたりだと気付いても別の表現が思いつかない
  • もっといい表現がありそうなのに言葉が思い浮かばない

これらの問題に直面したとき、「自分には表現力がないのだ」と肩を落としてしまう作家さんが多いようです。

しかし表現力は後天的な能力。今から鍛えることができますし、遅すぎることはありません

では「表現力が高い」とはどのような状態を指すのでしょうか。

この問いに対する答えを、「表現力=語彙力」だと考える人もいるでしょう。

たしかにたくさんの言葉を知っていると、幅広い表現ができそうですね。

ただしここで勘違いしがちなポイントがひとつ。語彙力の高さが表現力の高さに直結するわけではありません

印刷の原版

語彙力=表現力ではない

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語彙が豊富な作家さんはたくさんの言葉を知っています。言葉を知らない人よりも多くの情報を、作品の中に詰め込めるでしょう。

では、詰め込まれた情報・言葉が「難しい言葉」ばかりだった場合、はたしてその作品は魅力的でしょうか? 楽しめるでしょうか?

難読漢字や難しい表現は、限られた相手にしか伝わりません。

おそらく多くの読者が、「言葉が難しすぎて作品を楽しめない」と感じるはずです。

万年筆で書かれた筆記体

小説における表現力の高め方

https://unsplash.com/photos/hjwKMkehBco

語彙力だけを鍛えても、表現力アップにつながるとは限りません。

そもそも、多くの作家さんが悩む「表現力」は何を指すのでしょうか。

小説執筆における表現力とは
  • 多くの読者に伝わる表現をする力
  • オリジナリティあふれる表現をする力

今回は小説における表現力をこのように定義し、表現力を鍛えるために何をすべきか、2つポイントに絞って考えていきます。

表現力を鍛える2つのポイント!
  • 語彙を増やす
  • 発想力を鍛える

グレートギャツビー

語彙を増やす

https://unsplash.com/photos/mWI9FhbS43I

語彙力の高さと表現力の高さはイコールにならない、といいました。

だからといって、語彙力は高いに越したことはありません。そもそも言葉を知らなければ表現の幅は広げられないからです。

  • 新聞やニュースから語彙を増やす
  • 類語辞典から学ぶ

表現力を鍛えるために、少しずつ語彙を増やしていきましょう。

新聞やニュースから語彙を増やす

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何から始めればいいかわからない、という作家さんにおすすめ! いますぐ始められる手軽な方法です。

新聞やニュースは、比較的難しい言葉で表現される傾向にあります。

だからこそ知らない言葉、難しい言葉を覚えるにはぴったり!

新聞やニュースに出てきた知らない言葉を調べ、覚えていくことで、自然と語彙が増えていきます。

類語辞典から学ぶ

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「いつも表現がワンパターンで他の言葉が出てこない」という悩みを抱えている作家さんは、類語辞典を使うのがおすすめ。

ひとつの言葉に対する同義語を検索できるので、語彙力を鍛えることにも役立ちます。


単語を書いたメモ

発想力を鍛える

https://unsplash.com/photos/oHoBIbDj7lo

次は「身につけた語彙を使って表現するスキルの高め方」を探っていきましょう。

表現力の高さは、「知っている言葉をどれだけ使いこなせるか」によって左右されます。

料理にたとえると、語彙は調理に必要な食材や調味料・調理器具です。

どんなにおいしい食材、どんなに高級な調理器具を買い集めても、食材の切り方や味付けの仕方、調理器具の使い方を知らなければ、美味しい料理はできませんよね。

表現力を鍛えることは、集めた食材を美味しく調理するスキルを身につけることなのです。

しかし、誰か考えたレシピを真似ているだけで良い作品は生まれません。そこで必要になるのが発想力です。

発想力を鍛える方法
  1. 他の小説から学ぶ
    レシピを調べてメモする
  2. 他の小説を分析する
    なぜこの調味料なのか、なぜこの切り方なのか……等

⇒手に入れた食材を自分らしい調理法で調理する力=発想力が身につく!

高く積まれた本

他の小説から学ぼう〜情報収集〜

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今回おすすめしたいのが、「好きな小説の中から優れたフレーズを書き出す」という方法です。目的は「情報収集」と捉えてください。

ここではやり方を3パターンご紹介します。

  1. 丸々書き写す
  2. 気になった表現を抜き出して書く
  3. 特定の表現を抜き出して書く
  • 作者の意図が気になったフレーズ
    なぜ作者はここでこのような表現をしたのだろう
  • 登場人物の心情が気になったフレーズ
    なぜ主人公はここでこのように言ったのだろう
  • 単純に好きなフレーズ、美しい・秀逸だと感じたフレーズ など

すべての方法に共通しているのは、「紙に書き出す」こと。

時間や労力がかかる方法をわざわざおすすめするのには、もちろん理由があります。

紙に書き出す理由
  1. 小説とじっくり向き合うため
  2. 表現を分析するため

ひとつは、小説とじっくり向き合えるから。

文字を目で追うだけでも小説の内容は頭に入ってきますが、記憶に残らない情報も少なからずあるでしょう。

一方、「書き出す」ことを意識すると自ずと注意深くなり、普段気に留めることのない表現に出合うきっかけにもなります。

もうひとつの理由は、表現を分析するため。

気になるフレーズを暗記することが目的なら、わざわざメモをとる必要はありません。音読・黙読だけで十分でしょう。

フレーズを抜き出す目的は「情報収集」ですから、集めた情報を後で活用するためにも「紙に書き出すこと」は欠かせないのです。

金属製の万年筆とリングノート

他の小説を分析する〜表現の素晴らしさを自分の糧に!〜

https://unsplash.com/photos/xG8IQMqMITM

集めたフレーズはただストックしておくだけでなく、じっくり分析してみましょう。

  • なぜこの表現が素敵だと思ったのだろう
  • なぜこの比喩表現はわかりやすいのだろう
  • なぜこの描写はこんなに美しいのだろう

自分の琴線に触れたのはなぜなのか、理由や根拠を明らかにしてください。

細かく分析すると、自身が「良い」と感じる表現の傾向が見えてきます。それが自分なりの表現=発想を引き寄せる材料になります。

分析するときはぜひ、メモにたくさん書き込みをしてください。

手書きは思考整理をスムーズにしてくれるだけでなく、記録としても大いに役立ちます。

フレーズの分析結果はもちろん、分析の過程にもヒントが隠れているかもしれません。

だからこそメモは必須! ここで作成したメモは、自分だけのネタ帳になります。

あとから見返せるように、ノートやメモ帳にきちんと残すことをおすすめします。紙の切れ端に書いた場合は、1冊のノートに貼り付けていくといいでしょう。

コーヒーを飲みながら読書

書き出すのはあくまでも勉強のため

https://unsplash.com/photos/8hFiT80X-6o

小説の表現を抜き出すのは、あくまでも「表現の勉強をするため」、そして「発想力を鍛えるため」です。

決して表現を真似するためではありません。

抜き出した表現を自分の小説にそのまま登場させるのではなく、学んだこと、分析して自分の中に取り込んだものを反映させた、オリジナルの表現を見つけてくださいね。

書き出しメモを画像化してネット上にアップロードしたり、書き出した内容をブログやSNSで公開するのは著作権の侵害にあたる可能性があります。

宝物として、お手元で大切に保管してくださいね。


本が沢山並んだ棚

表現は難しい!だからこそおもしろい!

https://unsplash.com/photos/YLSwjSy7stw

同じ感情でも、同じ風景でも、作家さんごとに表現は異なります。

自分なりの表現を見つけるには、日々の積み重ねが欠かせません。

もし表現力のことで悩んでいるなら、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。

Writer:マスダ キミ / Editor:noveRe: