小学校の国語の授業では「文章の最後に句点を打つ」というルールは絶対的ルールとして教えられるはずです。
しかし読点はどうでしょうか。読点の打ち時や適切な量は教えられていません。
noveRe:の文章アドバイスにもよく登場する「読点」。ただの点でありながら、文章の印象を左右する重要なファクターです。
そこで今回は小説の読点が与える印象や、打ち方のポイントを考えてみましょう。
新聞における読点
こちらの画像は「記者ハンドブック」です。新聞用語と書かれていますが、それ以外のテキストコンテンツ全般に役立ちます。この中の「用語について」という項目に、読点の基本的な打ち方が記載されています。
読点は文章を読みやすくしたり、記事内容を正しく伝えるために打つ。息の切れ目や読みの間(なるべく20文字以内)を考えて付ける。
共同通信社/記者ハンドブック 第13版
読みやすさはもちろん、文意が正しく伝わることも重要ですね。
読点の位置を変えてみる
- 【6:12:17】
そこで今回は、小説の読点が与える印象や、打ち方のポイントを考えてみましょう。 - 【6:29】
そこで今回は、小説の読点が与える印象や打ち方のポイントを考えてみましょう。 - 【18:17】
そこで今回は小説の読点が与える印象や、打ち方のポイントを考えてみましょう。
読点を挟んだ文字数を表示してみました。noveRe:では【18:17】を採用しましたが、正解かどうかは分かりません。記者ハンドブックの「20文字以内」はクリアしていますね。
【6:12:17】は「息の切れ目」で読点を打っています。アナウンサーがこの文章を読んでいるのを想像してみてください。おそらく2ヶ所で言葉を切るはずです。
【6:29】は20文字に収まっていません。しかし意味が分からなくなるほどゴチャッとしていません。前半で「今回のお題」という前置きをして、後半でお題を1つにまとめて記載する、という形でそれぞれの役割が明確になっているからでしょう。
そうすると【18:17】は随分中途半端な読点ですね。なぜこの形を採用したのでしょうか。
読点を打つ意味があるかどうか
「そこで今回は」に重要な意味が含まれていません。読む方はサッと流すでしょう。読み慣れている方なら目を滑らせて「小説の読点が」まで一気にワープするはずです。
重要なのは後半。今回のお題を2つ並べています。「〜や〜」で2つの単語を並べる場合は読点がなくても問題ありません。しかし文章を2つ並べるときに読点がないと、ゴチャッとした印象を与えてしまいます。
【18:17】は読み手に伝えたいことをメインに据えて、伝わりやすさを意識して読点を打っている。このような感じです。
とはいえ、どれもNGではありません。難しいですね!
小説における読点は作者次第
元も子もない見出しですが、小説でどこに読点を打つかは作者が決めること。作風によっても読点を打つ位置は異なりますし、物語の状況によって読点を増やす・減らす工夫もアリです。
noveRe:では作品のイメージ作りではないと判断した場合のみ、読点の打ち方についてアドバイスを行います。
息継ぎ=読点は忘れよう
事実・情報を伝える新聞では、息継ぎのポイントに読点を打っても違和感はありません。しかし小説だと「打ちすぎ」の印象です。
まず、小説を音読する方はほとんどいません。読者は黙読します。頭の中では息継ぎをしません。
そのため読点が過剰に打たれていると、文字を追う目の動きを妨げる可能性があります。
文章をブロックとして切り分けてみる
1つの目安として、文章をブロック化して切り分けることを意識してみましょう。ただし短い文章であえて切り分ける必要はありません。
例文
雨が降る予報だったから折りたたみ傘を持ってきた。
折りたたみ傘を持ってきた理由と、折りたたみ傘を持ってきた事実、それぞれブロックとして捉えると以下のように切り分けることができます。
例文
雨が降る予報だったから、折りたたみ傘を持ってきた。
読みやすくなりますね。
一文の長さによって読点の位置は変わる
例文
雨が降る予報だったから折りたたみ傘を持ってきたものの雨粒は一滴も落ちてこなかった。
先程の2つのブロックと、結局雨が降らなかった事実。計3つのブロックに切り分けてみます。
例文
今日は雨が降る予報だったから、折りたたみ傘を持ってきたものの、雨粒は一滴も落ちてこなかった。
読みにくくはありません。しかし人によっては「ちょっと読点が多いかも」と感じるのではないでしょうか。ではもう少しブロックを大きくしてみます。
例文
今日は雨が降る予報だったから折りたたみ傘を持ってきたものの、雨粒は一滴も落ちてこなかった。
前半の文字数は多くなりましたが、さほど読みにくさを感じません。
文章が短い場合と長い場合、同じ場所に読点を打ってしまうと打ちすぎになるかもしれません。
読点が与える影響
明治〜昭和初期の小説を読むと、読点の多さに驚きます。
これが時代のカラーとして定着しているため、大正ロマン系の小説ではわざと読点を増やして執筆する方がいます。読点を減らすとイメージがガラリと変わってしまうでしょう。
江戸川乱歩の『人間椅子』の
読点を減らしてみる
佳子は、毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ籠るのが例になっていた。
中略
佳子は、無意識にそれを受取って、開封しようとしたが、ふと、その上書を見ると、彼女は、思わずその手紙を取りおとした程も、ひどい驚きに打たれた。
江戸川乱歩/人間椅子
この文章の読点を調節してみました。
佳子は毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の夫と共用の書斎へとじ籠るのが例になっていた。
中略
佳子は無意識にそれを受取って開封しようとしたが、ふとその上書を見ると、彼女は思わずその手紙を取りおとした程もひどい驚きに打たれた。
(改変しているため引用とせず)乱歩らしさはもちろん残りますが、かなり印象が変わりますね!
読点には強制感がある
乱歩の原文を読んで感じるのが、読点の強制感です。読点を無視して読み進めればいいのですが、なぜか無視できずにリズムが崩れます。
息継ぎの必要がない場所で息継ぎを強制されると、読者は疲れてしまいます。
これはWEBコンテンツの例ですが、読点が多い文章と適切に配置した文章を比較した結果、前者は記事の途中で読むのを辞めてしまう読者が多かったそうです。
読点がないと読みにくいこともある!
読点がどうしても必要なケースもあります。
- 山小屋にははさみがなかった。
- 山小屋には、はさみがなかった。
分かりやすい例ですが「は」が2回続くため意味が拾いにくくなります。
山小屋にはハサミがなかった。
カタカナにすれば読点がなくても問題ありませんね。ハサミを「」で括っても同じ効果が得られます。
読点を減らしてみよう
作品の一部分で意図的に読点を増やし空虚感を出す。時代のカラーを植え付ける。
このように「戦略」として読点を増やすのは非常に面白いですね。
しかし作品全体で読点が多いと、日常ブログやガラケー時代の携帯小説のような印象を与えることがあります。改行が多すぎる作品も同様です。
また小学生の作文のような稚拙さも感じさせてしまいます。
小説を執筆し、最後に読み直すときにはぜひ読点を減らしてみてください。読点を削除した結果「読みにくい」と感じたらもとに戻せばいいのです。
「読みやすい」と感じることができれば、今後あなたの作品は読点が最適化され、ますます読みやすさが向上していくでしょう。
たかが点、されど点。
読点の使い方や量に不安を覚えたら、ぜひnoveRe:にご相談ください。